「卒論の続き」

一生青春。 架空的計画(visionary scheme)の目標は世界の法則(The Law of the World)を見つけること。

「目的」と「目標」、「状態目標」

「目的」と「目標」との出会い

 

 目的と目標の関係や、使い方をきちんと定義できることは、企画立案を進める上でとても重要なことです。学生時代の企画サークルで施策を立案するとき、この目的と目標の違いを徹底的にたたきこまれました。今回は自分の頭の整理も兼ねて、目的と目標、そして「状態目標」という考え方について整理してみたいと思います。

 

 

「目的」とは何か?

 

 目的とは、「何のために」を明らかにするもので、実現しよう、到達しようとして目指す事柄です。5W1Hの「Why」がこれに当たりますが、このWhyは「なぜ」と訳すより、「For What≒Why」とした方がわかりやすいです。

 当たり前のことのようですが、意外とこの「何のために?」という部分の突き詰めが検討段階において甘いことが良く見受けられます。Why×5回を繰り返すことというのがよくビジネス本で出てきますが、それだけ「何のために」の突き詰めがビジネスにおいて大事だと言う好例だと思います。

 

 

「目標」とは何か?

 

 目的が「何のために」というベクトルや意味を定義するのに対して、目標とは具体的に「何を持って目的が達成されたとするのかを定義した指標」です。目標とは、ある期間が終了したときの結果の状態を示すものであり、予め目標値を定義し、結果の到達状態と比較することで、期間活動の評価が可能になります。目標が明確に定まっていないとき組織は「何を持って達成したとみなされるのか」「何を持って評価されるのか」がとても曖昧になります。さすがに経営レベルでこの定義がないことは、少ないと思いますが、個人目標設定の場面等では、極めてあいまいでおろそかにされがちなケースも散見されます。

 

 

「定性目標」と「定量目標」

 

 

 目標には数値等で具体的に達成度を測定可能な定量的な目標と、定量で示せない目標達成時の状態等を記述する定性的な目標があります。Web等を調べてみると、定量的な目標を「結果指標」、定性的な目標を「プロセス指標(行動数等)」として説明している例もあるようです。

 

 定性目標は、目標到達時の「状態」をイメージや文章で示すことで、組織メンバーが共通想起できる目標として機能するように定義ができます。
 一方、目標を目標項目と指標値等で定量的に表したものが定量目標です。財務諸表等のKGI(Key Goal Indicator:結果指標)、活動の達成度を示すの使われるKPI(Key Performancel Indicator:先行指標)等がこれに当たります。


 「定量」と「定性」これら2つの目標を合わせて、私は便宜的に「状態目標」と定義しています。

 

 

便利な「状態目標」という考え方

 

 状態目標は、定性、定量、両面から定義できるものです。まず取組みの方向性や実現したいことをイメージとして文章で「定性目標」として表現し、それはどんな指標値が満たされていれば達成といえるのかを「定量目標(値)」としてセットで定義するとわかりやすく状態目標を定義できます。

 

 目的と目標はセットで考えることによって、実現したいことの実現可能性が高まります。「何のためにやるのか」という目的、「何ができたら達成とみなすのか」という目標を紐づけて考えることで、取り組みの方向性と実現事項のイメージと、取り組みを考える際のモノサシの乖離が少なくなるからです。

 

 状態目標として整理するに当たり、目的が達成された世界観のイメージを定性目標として文書化、そしてその世界観が実現されたという状態は、どの項目のどんな指標でそれを到達したとするのかを定量目標として指標項目と指標値で分離して定義すると、わかりやすく目標を整理することができます。

 

「状態目標」の定義例

 

 定性目標:

 「〇〇年〇〇月までに「〇〇といえば〇〇」と第一想起される状態になっている」

それを定量的に定義したら(どの指標値がどの程度であれば達成としてOKとするか?)、

 定量目標:

  指標 1.「〇〇年〇〇月時点 第3者機関の認知度調査:〇〇%以上」

  指標 2 .「〇〇年〇〇月時点 当該市場シェア:〇〇%以上」

 

 

まとめ

 まとめると状態目標の定義は「到達した世界観のイメージの文書」と「それが実現された時の指標項目と指標値」をセットで表現しましょう。

 

「いついつまでにこういう状態になっている(いたい)」

→ 「それは具体的に何がどの程度達成されたらOK!」

 

 これが、状態目標(定性・定量目標)がステークホルダー間でプロジェクトのスタート時点で共有されていれば、目的とそれに紐づく目標(何が達成されればよいのか)が明確になるので、以降の認識の齟齬が少なくなり、プロジェクト等の業務においてロスを少なくすることができます。

 

 蛇足となりますが、目標は希望系(したい)でなく、完了時の状態系で定義(~になっている)が目標達成の秘訣です。