「卒論の続き」

一生青春。 架空的計画(visionary scheme)の目標は世界の法則(The Law of the World)を見つけること。

「MECE」な軸を利用した資料作成のコツ

 MECEという概念を知っていても、それを利用してどう資料を作るかはまた別問題である。ビジネスコミュニケーションにおいては、話者の伝えたいことを効率的、かつ効果的に相手に伝える必要がある。その際、MECEに整理した内容であれば、コミュニケーションを行う上で検討すべき視点や論点をもらすことなく網羅的に伝えることができる。

 

MECEな軸を利用した資料作成のコツ

 さて実際どうやるか。メッセージ全体の組み立てについては、ピラミッドストラクチャーという考え方で組み立てるのが一般的だ。この説明は別の機会にすることにして、ここではスライド1枚で表現するMECE感のある資料の作り方について書きたい。

 まずMECE感が出るように資料を作るためには、「Is(それ)/Is Not(それ以外)」で整理する、「フローやプロセス等の流れ」で整理する、「フレームワーク」を当て込むの3つの切り口がある。単一の切り口で書いていくと内容がしょぼくなったり、内容自体にヌケモレが生じたりしてしまう。そのため資料を作る場合には、常にマトリクスで一旦考えてみることをおすすめしたい。

 

マトリクスの作り方の例

 

2つの視点の異なる切り口を縦軸、横軸にマトリクス配置してみることで、資料作成に幅がでる。例えばこんな感じで作ってみたりする。

 

 

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オリジナルな分析フレームワークを作る

 こうして論点をマトリクスに配置してみることで視点や検証ポイントのモレを防げるだけでなく、縦軸、横軸の取り方によっては新しいアイデアをひねり出すことも可能になる。既知のフレームワークを掛け合わせてみることで、表現に全体感のある資料になったりする。

 下記の例では、3C×4Pの視点を縦軸、横軸にそれぞれプロットし顧客のニーズに対して、競合の打ち手、自社の打ち手を分析し、どんなマーケティングアプローチ上の課題があると考えているのか整理することができる。

 

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 この縦×横にフレームワークを配置する際、フレームワークが持っているMECEな要素(軸)はそのままにして、その軸に自分なりの分析や解釈を入れ、MECE感を持たせつつ、色合いを消すことによって「ちょっと賢そうな資料」を作成することができる。 上の例では顧客のニーズに対して、競合と自社の打ち手を並べて比較し、課題抽出を行うという構成で整理してみた。同じようなやり方で仮説構築や分析フレームワークを作成することはいくらでも可能だ。

 

 コンサルティング会社や企画会社の作成した資料をよく分析してみるとこのようなやり方で作られている資料も多いことに気づく。プロの資料を見る際に、その資料はどんなMECEな軸で整理されているのか、そこにはどんなフレームワークが潜んでいるのかチェックしてみると自分の技術のストックを増やすことができる。逆に言えば、資料としてはそれっぽいものの、内容が考えられていない資料を簡単に見抜くことも可能である。

 

「どう整理するとわかりやすいのか」を心がける

 資料作成の要諦は、「この情報をどう整理すれば分かりやすくなるのか」につきる。わかりやすいことは伝えやすいことでもある。こまごまとたくさんの情報がテキストで書いてある資料もよく見るが、縦×横のフレームで整理してみることで、たくさんの情報量をわかりやすく整理することも可能だ。

 また例示したように手持ちの情報の整理方法に迷うときやどうアイデアをどうひねりだしたらわからないときまずマトリクスを作って考えてみる。縦軸と横軸にどんなMECE感のある軸を配置するとわかりやすくなるのか、資料作成を穴埋め問題に変換してしまうのだ。

 このアプローチを知っていると、資料作成のスピードは格段に早くなるはずだ。また資料作成の不安も一つ減るだろう。実際にこれをマスターすることで資料作成が格段に早くなったメンバーを多く見てきただけに多くの人にお勧めしたいテクニックだ。

 

そして、「何が言いたい」のか?

 最後に、MECEな資料づくりにしてもビジネス上での分析、そして資料作成の目的は「興味がある」から作るのではなくて、「判断を助け、効果的な打ち手を考えだす」ために作るということを常に念頭に置いておきたい。集中しすぎるともはや資料作成そのものが目的になってしまい、「要は何が言いたいのか?」が欠けている資料も見受けられる。

 そのためには「何のためにこの資料が必要なのか、この資料では何が言いたいのか」を意識した上で軸を考えることが重要だ。資料の目的を達成するためには、つまりメッセージが伝わるためには、どんな切り口が必要で、そのためにはどんなMECEな軸や、フレームワークを使えばきれいな分け方ができるのか、と考えていくアプローチを心がけたい。

 

 今回は、MECEによる資料作成について取り上げたので、さらに進めて次回はここに配置していくフレームワークについて考察したい。