「卒論の続き」

一生青春。 架空的計画(visionary scheme)の目標は世界の法則(The Law of the World)を見つけること。

提案に響くメッセージング(必然性、効果・効用、実現可能性)

 昨日、休み明けに提出予定の提案書レビューをしていて、若手メンバーから視聴率の高かったテーマを本日は取り上げたい。提案書の書き方というか、提案書のストーリーの作り方について。

 

メッセージのパターン

 ビジネスの場面では、客観的に論証することで、物事のGo/No Goを決め実行していく事が多い。オーナー社長の鶴の一声で物事が決まるような企業も多いかと思うが、たくさんのステークホルダーが関与する組織では資料なりでの稟議で妥当性を判断してから進めることが多い。このようなメッセージングには3つのパターンがある。

 

f:id:visionaryscheme:20131221181140p:plain

 

この中で特に提案に有用なのが政策メッセージというタイプのメッセージである。

 

政策メッセージ、メッセージの構成

 政策メッセージは、必然性、効果・効用、実現可能性の3点セットで構成される。わかりやすい提案書の構成は多かれ少なかれ、この要素を含んでいるのではないだろうか。提案書や企画書というものは極論、人に何か(出資なり、協力なり)をしてもらうために書く資料である。人に何かをしてもらうためには、受け手が伝えられた内容に理解・賛同する必要がある。理解・賛同してもらうためには、

 

  • なぜそれが必要なのか

 

  (必要なことはわかったけど。。。)

 

  • それはどんないいことがあるのか?

 

  (必要で、良さそうだということはわかった、けど。。。)

 

  • それは実現できるのか?

 

上記の3点セットで見ていく必要がある。 では一つ一つ見ていこう。

 

必然性(何のために必要なのか?)

必然性には3つの切り口がある。 

 

1.自然的必然性

 自然現象が合法則的なこと。「そうしないと何かまずいことが起きる」

 

2.道徳的必然性

 道徳律によってある当為が要求されていること。「(コンプライアンス等の)ルールである」

 

3.論理的必然性

 主述が必ずそう関係し、判断の確実の程度(様相)が最も強いこと。また、公理から演繹(えんえき)的であること。「他には選択肢が無い」、「他の選択肢はもっとまずいことになる」

 

 提案する内容に応じて3つの切り口のいずれかを選択して必然性を示すとよい。 経営計画上の見通しが危うい場合などは「1.自然的必然性」だろうし、セキュリティ対策などは「2.道徳的必然性」に該当する。

 

効果・効用(どんないいことがあるのか?)

 これは、それをやることで得られるメリット、もしくは防げるデメリットを訴求する。また他の選択肢と比べなぜこの提案が優れているのか、なぜそれをおすすめしているのか、相手の立場に立って伝えることが大事だ。売り込みでその場は売れたとしても、長期にわたってお客様との関係構築をし続けるような法人営業領域等では、特に「お客様にとっての成功やメリットを、お客様以上に考え抜いて」提案をすることが大事だ。 自分が相手の立場だったらどのような提案を受けたいのか、創造を膨らまして考えていくことで、商材は同じでも異なる提案のパターンが何通りも考えられるはずだ。

 

実現可能性(では具体的にどうやるのか?)

 実現可能性の部分では、具体的な課題に対するソリューションを提示する。簡単にいえばプロジェクト計画の概要的な内容となるはずだ。提案された内容を実現することが技術的に可能なのか、品質は守れそうか、採算が取れるか、時間軸(期間や納期)は妥当範囲に収まりそうか。確かにこれならできそうだという説明に足る内容となっているか。このような内容を具体的に示す。下記に自分がよく使っている項目を盛り込んでみた。

 

実現可能性の部分に盛り込む項目の例:

プロジェクトの目標、前提条件・制約、成果物定義、実行プロセス、スケジュール(マイルストーンチャートやWBS)、実行体制(組織体制やメンバーのスキル等)、コスト(見積やROI分析等)

 

提案に響くメッセージングまとめ

 

f:id:visionaryscheme:20131221181148p:plain

 

 今回書いた政策メッセージのエントリについて類似の記述を探すといろいろ出てくる。探した中でも日経it proの「顧客が頷き受注が成功する必勝プレゼンテーション手法」という記事がわかりやすいと思う。また書籍としては少し古い本にはなるが「プロフェッショナル・プレゼンテーション」を学ぶとよい。

 

 最後に気をつけたいの提案書でも、企画書でも「相手の立場にたって」という観点を常に意識し続けることが大事である。これについては便利なツールがあるので次回取り上げたい。